静岡県富士市。沖へ出て見る。この辺を 田子の浦 といって、その風光明媚なることは、古来、歌にも謡曲にも、数多く歌われている。たとえば、山部赤人の歌に「田児の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ不二の高嶺に雪は雰りける」がある。吹上の砂浜に人も多く、苫屋も多く描かれているのは、北斎が描いた当時の実感がよみがえって面白い。